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すっきり目覚めてグッスリ眠る!快適な毎日のための“睡眠科学”入門

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講師紹介

内海 裕子
株式会社タイドハーツ代表取締役
睡眠改善インストラクター 早起きコーディネーター
睡眠健康指導士 「朝時間.jp」元編集長

日時

平成26年6月26日(18:30~20:00)

会場

日本生命八王子ビル 研修室

すっきり目覚めてグッスリ眠る!快適な毎日のための“睡眠科学”入門

睡眠とは

ヒトは食べて出して寝て元気が出る生き物。脳の疲れは睡眠以外で取り除くことはできない。脳が疲れていると記憶力は低下し、情緒は不安定になりやすく、免疫力も低下する。脳は常にフレッシュなエネルギーを欲しているので朝食を抜いてしまうと能力を活かしきることができにくくなる。朝食を食べると腸に蠕動運動がおき、お腹スッキリ快腸に一日をはじめることができる。

不眠

日本は不眠大国と呼ばれている。韓国ワースト1、日本が2だがこの2カ国の差はわずか1分しかなくほとんど変わらない。日本人の3人に1人が眠りに何らかの問題を抱え、5人に1人が不眠症と言われている。すっきり目覚められない、ぐっすり眠れない、夜中にちょこちょこ起きてしまう、日中に耐えられなくて寝てしまうくらいの睡魔に襲われるような状態が2、3週間続くと不眠症である
ちょっとの睡眠不足でも脳やカラダには疲労が溜まってしまう。夜ふかしを10日続けると脳は1日徹夜したときと同じ状態になり、さらに夜ふかしするとビール1、2杯程度飲んだのと同じような酩酊状態になる。慢性的に夜ふかしを続けると重度の無呼吸症候群の患者と同様まで機能が低下する。
ショートスリーパーやロングスリーパーには努力してもなれない。ショートスリーパーかどうかはDNAによって決められる。人口の90%近くの人は6~9時間睡眠が必要なバリュアブルスリーパーである。


必要睡眠時間 人口比

ショートスリーパー 

5時間以下
6時間以下

1%未満
5~10%

バリュアブルスリーパー

6~9時間 

80~90% 

ロングスリーパー

9時間以上
10時間以上 

5~10%
小児では大部分、成人では稀  

体内時計

眠りは生きるために欠かせない生命の事象であり、眠ることを通じて人間らしく生きるための脳機能を維持しながら生きている。人間の睡眠は高度に発達した前頭葉をしっかり休ませるために発達している。睡眠不足になると前頭葉の働きが弱くなるので人間らしくある能力が下がってしまう。
体内時計は起床後2~3時間中の強い光でリセットされる。地球時間は24時間だが、体内時計は地球時間より長い。リセットするには朝日を浴びるのが一番良い。目と目の神経が交差したちょっと上のところに体内時計をリセットするための視交叉上核というところがある。人間は細胞一つ一つに体内時計を持っている。しかしズレが生じバラバラになってしまうのでそれを一日一回朝日を浴びてリセットすることが大事である。

朝型夜型

レム睡眠、ノンレム睡眠は80分から100分で交互に訪れ一晩に4、5回ある。眠り始めてから最初の周期の時が一番眠りが深くなり、朝に向けてだんだん浅くなっていく。この最初の深い眠りの時にどれだけしっかりと寝れるかが大切である。朝型、夜型とあるが夜型の人は午前中に集中力がなかったり仕事の効率が上がらなかったりする。また、疲労感も高くなってしまう。よく徹夜したほうが集中力があがると思う人もいるが、実はそう勘違いしているだけで能率はあがっていない。遅寝の子供が増えてきていて、寝るのが遅い子は学力があがらないというデータが出ている。

ぐっすり眠る

ぐっすり眠るためには深部体温が下がり、睡眠物質がしっかり溜まっていて、副交感神経がしっかりと優位になってリラックスできていて、睡眠誘発物質「メラトニン」の分泌を抑制しないように、ほの暗い環境が必要になる。深部体温が下がると眠るようにカラダはプログラミングされている。深部体温や脳の温度を下げて、カラダを休息モードに切り替える。カラダが冷えている日、冷え性の方が眠りにくいのは下げる体温がないためである(一度ぬるいお風呂で温めるのがよい)。また、夜は薄暗い中ですごし、眠りのホルモンのメラトニン分泌促進をする。メラトニンは習慣的な睡眠時間の1~2時間前に分泌が開始される。しかし光に弱い。カフェインの効き目は4~5時間くらいなので夕方以降のカフェインは避けたほうがいい。また、人によって効き目がかわり、高齢になればなるほど効き目が長くなっていく。また、アルコールは「覚醒中枢」「睡眠中数」を麻痺させるので寝る前にお酒を飲むと眠りにすとんと落ちることはできるが深い眠りに入ることができず、さらに利尿作用があるので夜中にトイレに行きたくなってしまう。寝る時、満腹であっても空腹であっても眠りは妨げられてしまうので寝る3時間前までには食事を済ませたほうがいい。

すっきり目覚める

すっきり目覚めるためには朝日を浴びるのがいい。けたたましい目覚まし時計の音で目覚めるよりも光の刺激で目覚めたほうがスッキリ快活に活動できる。眠っている時は副交感神経、目が覚めているときは交感神経が刺激されている。眠っている時に優位になっている副交感神経を、活動の自律神経である交感神経が優位になるよう効果的に刺激するといい。例えば、寝ながら手足をぶらぶらさせる、カラダを大きく伸ばして深呼吸、モーニングウォーターを飲む、熱い高水圧のシャワーをあびるなど。体内時計をリセットする場所が視交叉上核の他にお腹にもある。朝食を食べることによって腹時計のスイッチが入り体内時計がリセットされてすっきりとした一日を送れる。朝食のメニューは脳の栄養となるブドウ糖やその原料としてパンよりご飯の方が良い。また、ぐっすり眠るためのホルモン、メラトニンの原料となる必須アミノ酸のトリプトファンを摂る。これは豆や乳製品、ナッツ類に含まれている。

寝だめ

お昼ご飯を食べたあとに眠くなるのは体内時計の影響である。お昼に眠くなった時、無理に起きずに15分~20分仮眠をとって脳を休息させた方が機能が回復する。昼寝をする前にカフェインを摂ると起きる頃にカフェインが効いてくるのですっきりと目覚められる。
 人は寝だめができないので休日にいつもよりも遅くまで寝てしまうと体内時計が狂ってしまい軽い時差ボケ状態になる。その結果月曜日が憂鬱になり、その影響は水曜まで及ぶのでそれを避けるために休日も平日と同じくらいの時間に起きて朝日浴をして体内時計をリセットする。軽く朝食を食べて腹時計を整える。日光をしっかり浴びて昼食をとり、お昼寝で日頃の寝不足を解消する。但し16時以降まで寝てしまうと、夜眠れなくなる。

グッドスリーパー

グッドスリーパーとは一度眠ったら朝まで目覚めない、途中で目覚めてもそのことを忘れてしまうくらいすぐに入眠できる人のことをいう。プアスリーパーとは寝つきが悪く眠っても途中で目覚めてしまうような不眠型のタイプの人のことをいう。プアスリーパーはグッドスリーパーと同じ睡眠時間でも熟眠感が得にくくなる。同じ時間眠るならグッドスリーパーがいい。睡眠は眠る長さも大切だが、質はより大切である。グッドスリーパーの特徴は寝つきがいい(10分以下で眠れる)、眠っている途中で目覚めることがない、しっかり熟眠感がある。


参加者の声
□最近寝つきが悪かったので、どのように寝ればいいか等がわかったのでぜひ実践してみようと思いました。
□今まで常識と思っていた眠りに関する知識が間違っていることが多くて驚いた。質の高い眠りを目指して気をつけたいと強く感じました。
□自分が今まで体に悪い生活習慣をしていたかがわかりました。これからは快眠を目指します。

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