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スパイス式減塩生活~カラダに優しい薄味のつくり方~

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講師紹介

福島 操子氏÷秋元 直美氏
エームサービス(株)管理栄養士 ダイエステシャンスーパーバイザー

日時

平成26年5月27日(18:30~20:00)

会場

日本生命八王子八王子ビル 研修室

スパイス式減塩生活~カラダに優しい薄味のつくり方~

高血圧について知ろう!

血圧とは血液が血管の中を通る時に動脈壁にかかる血液の圧力のこと。単位はmmHg(mm水銀柱)で、測定場所は上腕である。最高血圧は収縮期血圧といい、心臓が縮んで血液を押し出す時にかかる圧力のことである。心臓はポンプのようになっているので血液を押し出すときにすごく力がかかる。最低血圧は拡張期血圧といい、心臓が拡がって血液を吸い込む時の圧力のことである。最高血圧が上の血圧、最低血圧が下の血圧である。
高血圧とは血管に強い圧力がかかりすぎていることである。収縮期血圧と拡張期血圧のどちらが高くても高血圧である。高血圧は自覚症状がほとんどないので定期的な血圧測定をしていないと発見することは難しい。健康診断をきちんと受けていれば発見できる。しかし発見しても自覚症状がないので放置してしまう人も多い。高血圧だと血管に力がかかりすぎているので、血管の内側に傷が付き放っておくと動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞の原因になる。
日本人男性のうち、高血圧の人が50%を越える年代は50代からである。女性では50代で3人に1人が高血圧だと言われている。
日本人は年齢とともに高血圧の人が増加している。高血圧は長年の生活習慣がもととなって起こる病気なので急増する年代より前から注意する必要がある。そして日本では医療費が高くなっているのも問題である。高血圧の患者は国民の約4人に1人と言われている。高血圧の患者を減らすというのも医療費削減の一つにつながるのではないか。発症してから治療するのでは遅いので、発症する前から予防をしっかりすることが重要である。

塩分摂取量

一日の食塩摂取量の目標は年々減少傾向にある。現在の目標量は男性9g以下、女性7.5g以下だが平均摂取量は約10gで目標値を上回っている。高血圧の人は1日6gを目指す。食塩は調味料や加工品だけでなく、生鮮食品にも含まれている。生卵には0.2gのナトリウムが含まれている。生鮮食品のナトリウム、調味料の塩分、加工品の塩分、嗜好品の塩分であっという間に目標量を越えてしまう。生鮮食品のナトリウムは仕方のない部分なのでその他の部分で調整をする。

高血圧の予防

※高血圧予防のポイントは
①減塩を心がける②野菜や果物を積極的に摂取③適正体重の維持④アルコール制限⑤禁煙
これらは高血圧だけでなく生活習慣病の予防になる。

※減塩のためにできること
①調味料の使い方にひと工夫:酸味を上手に使う。レモン、すだち、かぼすなどの柑橘類や酢などを和え物や焼き魚に利用する。香りを利用して、ゆず、しそ、みょうが、ハーブなどの香りがある野菜、海苔、鰹節などを加えてメニューバリエーションを増やす。香辛料をふんだんに、とうがらしやコショウ、カレー粉などの香辛料を上手に使って味付けに変化をつける。
②味噌汁は具だくさん:インスタントだと2g、家庭で作ったものでも1.5gの塩分が入っている。具だくさんにすると野菜のかさも増し、旨みも出るので味噌の量が減り1.2gにすることができる。
③麺類のスープは飲み干さない:醤油ラーメンのスープを全部飲むと塩分量は5.1gになる。スープを全部残したとしても1.9gになる。麺を食べた時にどうしてもスープが麺に絡む、麺自体にも塩分を含んでいる。味噌汁に比べはるかに高い塩分量なのでスープは残す習慣を付ける。
漬物や練り製品、加工品は控えめに:漬物は塩分が高いが、その中でもらっきょうや浅漬けは塩分が控えめ。梅干は1つで2.2gの塩分量がある。練り製品や加工品も保存期間を長くするために食塩を使っているので塩分量が高い。干物も塩水に浸してから干しているので塩分量が高い。同じあじを食べるとしても干物より生のあじに塩をかけて塩焼きにしたほうが塩分量は低くなる。ただし、塩焼きに醤油をかけては意味がないので酸味をうまく活用し、レモンやすだちをかける。

七味唐辛子

七味唐辛子とは七つの味のスパイスを混ぜたもの。唐辛子の分量により、辛さの程度が変わる。七味唐辛子とは上方風の呼び方で、江戸では七色唐辛子通称七色と呼ばれていた。唐辛子、山椒、陳皮、けしの実、胡麻、あさの実、青のりを入れるのが一般的だが地域によって異なる。関西では薄味のだし文化に合わせて辛味より風味の良いゆずなどを入れることもある。
※スパイス、ハーブには3つの作用がある。
①辛味つけ:辛味にもヒリヒリするもの・ピリっと刺激的なものなど様々な種類がある。その特性を生かして、料理のアクセントに使う。例)唐辛子、ガーリック、マスタード、山椒など
②香りつけ:スパイス&ハーブの第一の作用。単純に香りを付ける作用と、肉や魚の臭みを和らげる(マスキング)作用に分かれる。例)ローズマリー、クミン、バジル、ローレル、セロリなど
③色つけ:見た目が鮮やかで食欲増進効果がある。例)ターメリック、サフラン、パプリカなど

市販食品の塩分量

市販食品は塩分量でなく、ナトリウム量で記載されていることが多いので、次の計算式から塩分量を算出することができる。
 食塩相当量(g)=ナトリウム量(mg)×2.54÷1,000
 ナトリウムが高血圧の原因になる。計算の目安:400mg×2.54÷1,000=約1g

ヘルシーナビ計測結果と減塩生活ヒント

血管年齢チェックは実年齢に対する血管の年齢と老化度を測定している。血管の硬さや緊張状態を解析し、血液量から総合的に判定。動脈は心臓から送り出される血液を全身に送り出すパイプのような役割をしている。ポンプのように効率よく血液を送り出す作業を行っている。そのためしなやかで簡単に破れたり詰まったりしない硬さと強さと弾力性を備え持っている。しかし動脈が硬くなるとしなやかさが失われ血液を送り出せず心臓に負担をかけてしまう。動脈が硬くなると血管の内側がもろくなりコブができたり血管の中が狭くなったり詰まったりする。狭くなった血管の中を血液を通すには圧力が必要になるため血圧も上がる。さらにこのような状態だと血管はもろく破れやすくなる。
動脈硬化を予防するポイントとして、食物繊維をたくさんとるといい。根菜、海藻、きのこ、雑穀は食物繊維を豊富に含んでいる。3色に分けてこまめに摂るようにする。また、塩分のとり過ぎに注意する。減塩は動脈硬化予防にも、高血圧予防にも大切なポイントである。
骨チェックでは骨の強さを測定。加齢とともに骨量は減少する。特に女性は18歳くらいでピークを迎え、40代の半ばまでは一定だが、50歳前後から急速に定価していく。骨に必要なカルシウムは腸から吸収されて骨に取り込まれるが、年を取ると腸からの吸収が悪くなってしまうのが骨量低下の原因の一つである。骨粗鬆症とは骨の強度が低下し骨折しやすくなる。骨強度には骨密度が7割、骨質が3割関係している。多くの人は加齢とともに骨密度が減少する。バランスのとれた食事や適度な運動で骨密度の低下を防いだり遅らせることができる。骨粗鬆症の患者は男性300万人、女性が980万人と言われ、圧倒的に女性に多い病気である。特に45歳以上の女性では骨粗鬆症が糖尿病や心臓病を上回っていると言われている。骨を作るのに必要なカルシウムは非常に吸収されにくい栄養素である。特に食塩、アルコール、カップ麺、スナック菓子等の食品の過剰摂取はカルシウムの吸収を阻害または排出する。緑茶、紅茶、コーヒーも吸収を阻害すると言われているので、飲む場合は食後30分以降にする。

まとめ

①高血圧を知る!
 自覚症状のないサイレントキラー
②調味料の使い方を工夫しよう。
 調味料の使い方を工夫し、麺類のスープは飲み干さない。漬物や練り製品、加工品は控えめに。
③栄養成分表示を確認しよう。
 ナトリウム400mg=約1.0gの食塩相当量


参加者の声
□ 食習慣の大切さを改めて痛感しました。なるべく塩のとり過ぎには気を遣う習慣をつけたいと思いました。
□ 高血圧予備軍の私には改めてスパイス、ハーブの有効活用を積極的に取り入れたいと思いました。

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