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「自分の健康は自分で守ろう-セルフメディケーションのすすめ-」

ダウンロードはLinkIcon180206高橋先生

講師紹介

高橋 英孝(たかはし えいこう)
東海大学医学部付属八王子病院 健康管理センター長 基盤診療学系健康管理学教授
演題
「自分の健康は自分で守ろう-セルフメディケーションのすすめ-」

日時

平成30年2月6日(18:00~19:30)

会場

八王子市石川市民センター会議室

セルフメディケーションを実践するには

1.自分の状態をチェックし把握する
 血圧を測るなら、朝一番の血圧を測りチェックする。
 できれば血糖値やコレステロール・中性脂肪のレベルもチェックしたい。
2.異常があれば対策を行い、その効果をチェックすることで、改善の確認・対策の継続をする。

血糖値




一般的な生活習慣病である糖尿病のチェックをするために、健康診断では空腹時血糖値を測るが、空腹状態で検診を受ける目的は胃の検査のためであり、血糖値の検査としてはあまり意味がない。
空腹時血糖値の検査では糖尿病の90%以上は発見できない。
人それぞれで体質はあるが、一般的には糖尿病は血糖値の高い状態が長時間持続してしまうことによって、発症・悪化する。
空腹時:一番血糖値が低い状態における検査は、進行した糖尿病を発見できる。
空腹時とは朝起きてから朝食をとるまでのほんの数十分間の状態で、1日のほとんどの時間は食後・食間の状態。本来は食後・食間の血糖値の状態を持続的に測ることが、必要。
東海病院付属八王子病院健康管理センターでは2018年4月からの人間ドックで、糖尿病の疑いのある方にオプションで2週間継続的に血糖値を計測できる500円玉ほどの大きさの機器をつけてもらうことを検討している。

食事の内容と血糖値


例えば、砂糖の多い清涼飲料水を飲むと、瞬間的に血糖値が上昇するが1・2時間ほどで、通常の血糖値に戻る。
炭水化物:ご飯・麺・パン・芋などを食事としてとると、血糖値が上昇し、体質にもよるが一般的に3時間ほどで、食前の値まで戻る。
しかし、炭水化物と油の多い食品を一緒に食べると、血糖値の上昇は同じだが、血糖値がなかなか下がらない。つまり、血糖値の高い状態が持続する。これがリスクとなる。
炭水化物+油の食事とは、ラーメン・カレーライス・パスタ・カツ丼・ピザ・・・などである。
脂分が多い食事でも、炭水化物つまりご飯やパン、麺を食べなければもちろん血糖値は上がらない。

ヘモグロビンA1cは、平均的な血糖値を示す。

赤血球のヘモグロビンは、食事とは関係なく24時間作り続けられるが、ヘモグロビンが生産されるときに血液中の糖をグルコースとして吸着する。そして赤血球の寿命は120日で、半減期は30日なので、血液中のヘモグロビンに含まれるグルコースを測ると1〜2ヶ月間の血糖値の平均が求められる。これは血糖値の高いことの負担の目安になるが、本当は実際の血糖値が高い状態が持続した程度、つまりグラフで書くと血糖値の線が描く面積や非常に高い状態になってしまっていることがが影響する。

食事と睡眠のタイミング

食後3時間で血糖値は食前に戻る。この状態で睡眠をとれば、睡眠中の血糖値は、低い値を保ち続ける。
しかし、例えば炭水化物を摂って2時間後、つまり食前状態まで血糖値が下がっていない状態で寝てしまうと、実は、睡眠中に血糖値が上昇し高い状態が続き起床時にはかなり血糖値の高い状態になっている。
なぜなら、血液中の糖は筋肉で消費される。起きていれば、例えば体を起こしているだけで筋力を使い糖を消費する。だから血糖値が下がる。しかし寝てしまうと、糖の消費が少なくなってしまうので、せっかくインシュリンが糖を筋肉に運んでも消費しないで、また血液中に戻ってしまうようなことが起こっているらしい。
炭水化物を含む夕食は、睡眠時間より3時間以上前に終了することが重要と言える。

血糖値と筋肉量

一般的に、血糖値はインシュリンが下げると考えがちだが、インシュリンは血液中の糖を筋肉へ運び消費しようとするだけで、実際に消費するのは、筋肉である。
血糖値の改善に、食事の制限と運動が良いと言われているが、実際には運動中の糖の消費はあまり多くはない。筋肉は、起きている間持続的に体を支えるためにエネルギーを消費しているので、運動の目的は筋肉量を増量することにある。
筋肉量の増量には運動が欠かせないが、筋肉の材料はタンパク質。特に中年以降になるとタンパク質の吸収力も衰えるので、60歳の方で年間2%筋肉量が減少してしまう。
したがって、負担にならない程度の運動に加えて、今まで以上にタンパク質を摂ることが必要となる。
タンパク質を摂ることは魚・肉・大豆食品を食べることだが、あまり多量に食べられず、また、余分な脂や炭水化物も摂ってしまうので、補助食品として市販されているプロテインを摂ることでタンパク質を補うことも効果的だ。

簡単な食後血糖値の推定方法

最新の機器を用いれば2週間の血糖値を継続的に測定することができるが、まだ一般の方が利用することはできない。
簡単で安価な方法をお伝えしたい。
大きなドラッグストアに行くと、尿で血糖値を測る検査紙を販売している。
テルモ製 新ウリエースBT という検査紙で、50枚入りで2千円程度
尿を1秒かけて30秒後、検査紙の色で血糖値を測る。
この試験紙を2枚使う。
1回は食前測り、記録しておく。2回目は普通に炭水化物を含む食事をとり、2時間後に測る。
2時間後の値が、食前の値より大きく出ていた場合、自分の体質にとって、食事の内容が血糖値の下がりにくい内容であった。あるいは自分の体質が血糖値の下がりにくい糖尿病のリスクが少し高い体質である。ということが推定できる。


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