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動脈硬化はどうして起こるのか、動脈硬化とガンの類似点

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講師紹介

宮川 髙一先生
医療法人社団ユスタヴィア 理事長
多摩センタークリニックみらい 院長
専門分野:糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症


日時

平成25年9月25日(18:30~20:30)

会場

日本生命八王子 八王子営業所 研修室

動脈硬化はどうして起こるのか、動脈硬化とガンの類似点

動脈硬化とは

動脈は心臓からの圧力に耐えられるようにゴムのような弾力を持っている。そのゴムのようにしなやかな血管に脂かすが溜まっていくことを動脈硬化という。脂かすが溜まってくると弾力性が失われてかたくなってしまう。かたいということはもろいということ。ある程度まで脂がたまると亀裂が入り、血の塊ができてしまい心筋梗塞や脳梗塞を起こす。

動脈硬化はどうして起こるのか

コレステロール値が高いほど動脈硬化を起こしやすい。コレステロールは身体に必要なもので血液の中を流れているが、多すぎると余ってしまう。余ったコレステロールは血液の中で古くなっていく。脂なので酸化してくる。古くなったコレステロールは身体の中で悪さをするので排除するために防衛隊である白血球が出てくる。その白血球の一種が脂カスを食べてくれるが、消化ができないのでどんどん大きくなっていく。それが血管の壁に蓄積していってしまう。
血管は油のカスを捨てようとする。一番簡単なのは動脈の壁に傷がついているところに捨ててしまうこと。そこへ白血球が来て脂カスを食べる。消化できないのでそこでどんどん溜まっていく。大きくなりすぎると白血球が死に細胞が破壊されその成分がさらにそこへ脂を呼んでしまう。その結果ぶよぶよの脂カスの塊ができる。中にカルシウムを含んでいるので弾力性はなく、ぶよぶよだが固い塊である。そして塊は血が流れているのでぶよぶよのところに亀裂が入る。そこへ血液を固める凝固因子が血栓を作っていく。数年かけて塊ができていくが、血栓ができるのは一瞬である。血栓は突然できる。特に寒い朝はできやすい。人間はサルだった時代に寝込みを襲われることがあったため、襲われてもすぐに怪我が治るように朝は一番血が固まりやすく血液がどろどろしている。そして寒いときは血圧があがるので寒い朝が一番危険である。さらにここでタバコを吸うと血管が縮まるので血栓ができて一気に詰まる。
動脈瘤は溜まっていくが血管がどんどん外に大きくなっていくので血管内の血流は保たれる。保たれているので症状として現れない。また、検査によっては血流が通っているので誤診を招くこともある。よっていろいろな検査を行い診断する。特に血管は中から見た時と外から見た時で違いがある。

動脈硬化を起こす成因

コレステロールが高い、血管に傷がある、血が固まりやすいという因子が複合的に関わると動脈硬化を起こす。そして動脈硬化によって心筋梗塞、脳卒中を引き起こす。高コレステロール血症はコレステロールを高くし、高血圧・糖尿病・喫煙は血管を傷つけ、高中性脂肪血症・多血症・高LPA血症は血を固まりやすくする病気である。これらの病気が重なるほど発生しやすくなる。つまり動脈硬化はいろいろな病気が重なって起こる。一つ一つの病気はたいしたことがなくてもいくつも持っている場合は注意しないといけない。

メタボリックシンドロームの関わり

メタボリックシンドロームでは上記の病気を起こしやすい。また、内臓に脂肪がたまる男性型肥満の方は脂が直接血液に入っていくので危険である

高血圧とは

病気によって影響が出る血管が少しずつ違う。高血圧の場合脳梗塞・脳出血が一番危険である。高血圧には3種類ある

  • 下だけ高いメタボ型
  • 上も下も高い塩型
  • 上が高い動脈硬化型

がある。メタボ型は太っているからなる。このタイプが増えている。このタイプは他に比べて塩を多く摂っていないから血管はまだ正常に近い。しかし心臓の能力に比べて体が大きすぎるので体全体に行く血管の抵抗が増えてしまう。よって下半身だけ血圧が上がってしまう。ほかのタイプは塩分を摂りすぎているので薄めるために水分も多く摂っているから血液量が多く血管がパンパンになっている。

家庭血圧

本当の血圧は楽な気持ちで熱くも寒くもないところで座位で測ることが基本である。家では正常なのに病院だと血圧が高い人を白衣高血圧という。家でも病院でも高い人が高血圧、低い人は正常。一番怖いのは家では高いのに病院だと正常な仮面高血圧の人である。なぜかというと人間の身体は朝一番血圧が高くなるからである。そして高血圧の人ほど朝の血圧が高くなる。病院に来て測る頃には血圧は下がってしまっている。

ガンとはどのような病気なのか

がんとは異常な細胞増殖によってもたらされる腫瘍のうち、悪性のものを言う。

  1.  異常な細胞(がん細胞)が生体の規則を無視して勝手に増殖
  2.  がん細胞が近くの組織に浸潤性に増殖
  3.  がん細胞が血液やリンパ液の流れに乗って他の臓器に飛び火(転移)する

 がんは遺伝子の病気である。細胞の中に存在するある遺伝子が何らかの原因で異変を来たし、それまで正常であった1個の細胞が時間をかけて多段階的に異常な細胞になっていく。起始段階として正常細胞が前がん状態の細胞に変化し、促進段階は前がん状態の細胞ががん細胞になるまでの段階である。動脈硬化と同じである。
 タバコをやめてたった半年でがんになる確率が下がる。タバコを吸っているだけで寿命が10年変わる。タバコは前がん状態の細胞をがん化させるところに一番影響してくる。
 がんは急にできるわけではない。1個のがん細胞が早期発見される1gのがんに成長するのは30回分裂する必要がある。1回の分裂に100日かかる30回分裂に9年かかる。しかしここまでくるとあと10回分裂するだけで末期ガンになってしまう。1個のがん細胞が早期がんになるまでに9年、早期がんから死に至る末期がんまで3年。がん細胞の増殖速度は最初から最後まで同じではない。増殖していくほどに加速し悪性度も増す。
 遺伝子の変異を起こす刺激の抑制と免疫力の向上でがんの予防になる。しかしこれは老化とともに衰えてくる。動脈硬化性疾患もがんも骨粗鬆症も人類の高齢化、現代社会と人類進化の方向との歪みによって生ずる疾患といえるのではないか。できるだけ若々しく生活していくことが予防につながる。





参加者の声
□ 動脈硬化やがんになる要因・原因を学び、ならないための予防を教えていただきました。
 血圧や高血圧についても理解を深めることができました。

  

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