健康寿命伸長に向けたセルフチェックのすすめ
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講師紹介
高橋 英孝氏
東海大学医学部基盤診療学系健康管理学教授
日時
平成27年6月19日(18:30~20:00)
会場
日本生命八王子ビル 研修室
健康寿命と余命
平均寿命は長くなってきている。しかし、健康寿命:健康に生活ができている年齢と、余命:亡くなる年齢の差:健康ではない状態で生きている期間が、男性で9年間、女性で12年間ある。
亡くなる直前まで健康に生活できている状態を目指したい。これが健康寿命を延ばすということ。
自分の健康状態を知る
健康寿命をのばすには、自分の健康状態の変調を知り、なるべく早い時期に対処して、健康状態を維持する必要がある。
一般にあまり違いが知られていないが、
- 健診:全身が健康であることの確認:望ましいのは異常がないこと
- 検診:体調の不調をきっかけとして、検査により特定の臓器の異常を発見する
- 人間ドック:全身の健康状態の確認と各臓器の検査により臓器の異常を発見する+健康についての指導を受ける
つまり、自分の健康状態を綿密に確認し早めの対処をするためには「人間ドック」受診が望ましい。
メタボリックシンドロームは生活習慣病の前兆・要因
メタボリックシンドロームは多くの生活習慣病に先立って発生する。これを対処することで多くの生活習慣病を未然に防ぐことができる。
メタボ対策
般的にメタボ対策は、その程度により、順番的に
運動・食事・禁煙・医薬品・・・の順番で対処する。
しかし最初の「運動」そして「食事」の対処が、実際には難しい。
対策として、より簡単で習慣化しやすいテクニックを活用することを指導している。
満腹感
メタボリックシンドロームの原因の一つに、食べ過ぎがある。満腹感を感じる前に食べ過ぎてしまう。
満腹感の発生源は早い順番とすると
1.咬む筋肉の刺激と歯根に力が加わっている感覚で満腹感を感じる
- 噛み方が少ないと満腹になりにくい
2.胃が膨らむことで満腹感を感じる
- 胃は2リットルぐらい食物が入るので、満腹感を感じるほど胃を膨らませると、食べ過ぎになる
3.血糖値が上がることで満腹感を感じる
- 食物が胃腸で消化されて血糖値が上がり始めるのに30分、ピークになるのに1時間ほどかかるので、血糖値が上がって満腹になるほど食べ続けると食べ過ぎになる
カロリーを増やさず満腹感を得る
1.一回の食事で噛む回数は1500回ぐらいが望ましい。しかし一般的に1回の食事で数百回ぐらいしか噛んでいない。一口30回と実行するのが望ましいが、噛む回数を数えていると食事が楽しめない。だからおすすめは、
- 一口の量を少なくする・飲み込む前にもう10回噛む。
- 歯科医院で定期的に歯の検診を受け、年を重ねても自分の歯を失わないようにすることも重要。
2.間食でカロリーを摂らない
- 朝食と昼食の間 午前10時頃、昼食と夕食の間 午後3・4時頃空腹になり、つい間食をしてしまうことがある。間食でカロリーを摂ることがリスクにつながる。
- 最近、空腹時に飲むと胃の中で食物繊維が膨らみ、胃壁を刺激して2時間ほど空腹を感じなくなる飲料が販売されている。このような飲料を上手に使うと間食でカロリーを摂ることを避けられる。
3.血糖値を上げて空腹感をなくす裏技
- 食事をして胃腸で消化し血糖値が上がるには少なくとも30分以上かかる。摂取カロリーの少ない食物で急速に血糖値を上げる裏技がある。
- 粒状のラムネ菓子を舌下:舌と下前歯の裏の間に入れると、急速に溶けて口腔の粘膜から直接糖が血液中に吸収される。数分で血糖値が上がり、空腹感が押さえられる。
自分の体質を知る
同じ食事を取っても、血糖値が大きく上がる人とそれほど上がらない人がいる。ピークは食後1時間後、血糖値で140〜200未満は境界型、200以上は糖尿病。
中性脂肪は空腹時で150mg/dl以上あると脂質異常。ピークが食後4時間後、空腹時に比べ4時間後が非常に高かったら、中性脂肪が上がりやすい状態で、肥満、脂肪肝、動脈硬化になりやすいということ。
人間ドックでも空腹時に採血するので、ピーク血糖値・ピーク中性脂肪は測っていない。
血糖値・中性脂肪の上がりやすさを自分で血液を採取して検査ができる「血液検査セット」を3個使うことで検査ができる。
「血液検査セット」は、自分で血液を採取し、郵送することで検査結果を知ることが簡単にできる。
この血液採取を、休日の午前中を使って、空腹時、食後1時間後、4時間後に行う。
検査結果は同封する「検査申し込み用紙」の「採取日」で識別されるので、この「採取日」を、
例えば、
- 空腹時:6月20日
- 1時間後:6月21日
- 4時間後:6月24日
と、書き郵送することで、検査結果から血糖値・中性脂肪の上昇しやすさが判断できる。
「血液検査セット」の使い方:YouTube
人間ドックは「がん」の発見ができる
「がん」は年齢が上がってくると発生率が上昇してくる。
人間ドックは「エコー」や「内視鏡」などで「がん」が発見できる。
「がん」を発見するために、
- 35才で人間ドック受診
- 40才になったら毎年人間ドックで基本的な検査項目を受診
- 50才になったら毎年基本項目を3年から5年でオプション項目を一通り一巡して受診できるように計画的受診するのが望ましい。
参加者の声
簡単にカロリー摂取を抑えて満腹になり、食べ過ぎを予防して健康に気を付けたい
人によって、血糖値・中性脂肪の上がりやすさに違いがあるタイプがいることが分かった。「血液検査キット」を使って自分のタイプを確かめたい
市販の「血液検査キット」で自分の健康リスクを知ることができることを知って、良かった。自分で確かめたい
健診→検診→自己チェックの大切さを学びました。今後の生活に役立てたい。