jp-kenko.org

乳がん検診率50%以上を目指して

ダウンロードはLinkIconこちらから

講師紹介

栗原 和江 氏
くまがやピンクリボンの会代表
NPO法人キャンサーネットジャパン認定
 乳がん体験者コーディネーター
日本乳癌学会会員

日時

平成26年4月23日(13:00~14:30)

会場

日本生命八王子 八王子営業所 研修室

乳がんの検診率50%以上を目指して

ピンクリボン運動とは

1980年代アメリカで始まったと言われている。日本には2000年頃から入ってきて、毎年10月は世界的にピンクリボン月間とされている。日本では検診率が去年は23.8%だった。毎年6万人が乳がんを発症し1万3千人が命を落としている。35歳から急激に発症率が上がっている。70代まで発症率が変わらない。
アメリカ81%、韓国61%と諸外国では高い検診率になっている。

乳がんの発見

自己触診をした時にしこりがあるのに気付いた。良性だと言われたが定期的にがんセンターに通い経過観察をすることになった。通い始めて半年後に突然悪性だと宣告された。
エコー検診は乳腺が白く写り、乳がんが黒く写る。マンモグラフィーは乳腺も乳がんも白く写る。読影医が真っ白な雪原に真っ白なうさぎを探すような作業だと言われるほど難しい。日本では読影医がAからDまでランク付けされている。Aランクでないと10%の見落としがあると言われている。受診するときは必ずAランクドクターのところへ行く。また、婦人科ではなく乳腺外科もしくは乳腺科へ行く。
高性能度マンモグラフィー、エコーや乳房専用のMRIがある。このMRIなら初期の乳がんが10人に一人見つかると言われている。最近はデジタル化され判断しやすくなっている。

乳がん体験について

セカンドオピニオンで千葉県にある亀田メディカルセンターにたどり着いた。ここで初めにサーモグラフィーの検査をした。がんは大きくなるために周りに新生血管を作るためがんの周りだけ体温が高くなり、赤く映る。しこりが1センチ以下の場合凍結法でがんを液体窒素で凍らせる手術が日帰りでできる。
世界で初めて乳がんの内視鏡を開発したドクターがいるので内視鏡の手術でがんを摘出した。温存で傷跡も小さくすることができる。さらに部屋で電子カルテを見ることができ、全てを知ることができる。また、この病院ではQOLを維持するためエステやネイルサロンもある。
チーム医療をしていて、一人の患者に対して担当医、看護師、理学療法士など多くのスタッフが対応してくれる。

ガンのステージとグレード

がんのグレードとはがんの顔つきや性格と言われるもの。グレードによって術後5年後の健存率が変わってくる。1、2、3と悪性度が高くなっていく。また、アメリカで開発されたアジュバンドオンラインというものがある。年齢、がんの大きさ、リンパを取った数を入れるとホルモン治療などの効果や、10年以内に再発する確率を数字で出すことができる。

抗がん剤、乳房の再建

日本で作っている医薬品の種類の中でがんの薬は全体の2%しか作られていない。抗がん剤を使うと様々な副作用が出てくる。最近「ハラヴェン」という乳がんの薬が開発された。
毎年約6万人が乳がんを発症し、そのうち約2万人以上が全摘出している。しかし、乳房再建のインプラントは保険適応外である。しかし最近やっと保険適応になり一つ100万円したものが3割負担でできるようになった。シリコン製の乳首は好きな色に染めることができたり好きな形にすることができる。

サバイバー・差別

社会的な壁:がん患者の約20%が退職、廃業、休業(閑職に追いやられ)。がん患者の3人に1人が職場に「がん」であると言えない。70%以上のサバイバーの収入が減っている。平均年収が約34%減少。サラリーマンの平均年収500万円→300万円に。経済的負担から治療を諦めてしまう人が約10%。患者の心はいつも変化している。がん患者の50%はうつ病
 ◎乳がんトリビア

  • 美乳の人は乳がんになりやすい。
  • 16歳になったら乳がんにかかる可能性がある。
  • 女性ホルモンが多いと乳がんになりやすい。
  • 肉類が好きな人は乳がんにかかりやすい。
  • 子供を産んだことのない人の方が乳がんになるリスクは高い。

家族性乳がんというものがある。遺伝子に変異がある人は将来的に約50%の確率で発症すると言われている。また、遺伝子変異がある人は卵巣がんになる可能性も高い。乳がんはホルモンの病気でもあるので治療により妊娠するのが難しくなる。将来の妊娠・出産のため、ガン治療の前に卵子を採取して保存することもできる。

自己検診

乳がんは唯一自分で見つけられるがんである。月に一回 日を決めて自己検診をする。生理後1週間後くらいが良いと言われている。乳がん患者の70%が自分で見つけていると言われている。
鏡の前に立ち、両手を上げたり下げたりして、左右の形に変化がないか、皮膚にえくぼやひきつれがないかじっくり観察をする。特に気をつけるところは、皮膚の色の変化である。しこりを作らないタイプの炎症性乳がんというものがある。皮膚に発赤、浮腫、ただれたり、皮膚がざらざらしたりする。バッグを肩にかけているときに当たって痛いなと思って気付く人もいる。分泌液がないか軽く乳首をつまんでチェックをする。茶色っぽかったり血の混じったものが出ていた場合は異常である。
仰向けになり3本の指を揃えて脇の下からリンパ腺を辿るようにゆっくりとやや力を込めて乳首に向かって触っていく。ベビーパウダーなどを使うと滑りが良くなって良い。脇のリンパに近い部分が乳がんになる確率が高い。

くまがやピンクリボンの会の活動

ピンクリボン自販機を埼玉県内で30台置いている。目標は60台。ペットボトル1本で1円から2円の寄付になる。そのうち半分は日本対がん協会のほほ笑み基金という乳がん研究費に寄付されている。
2010年には熊谷市の隣にある行田市に山田邦子さんが来てくれた。山田邦子さんは両方の胸にがんができる多発性乳がんだった。現在も治療中。
高野山で初めて乳がんの全国大会が開かれた。おっぱい絵馬を奉納して祈願をする。金剛峯寺で写経も行う。
毎日新聞・埼玉新聞の記事にも活動が掲載された。今年埼玉県で初めてがん教育を熊谷で始めた。
10月に熊谷駅でピンクリボンの活動をしている。またその時検診車を呼んで10人に検診をプレゼントした。


参加者の声
□ とてもわかりやすく具体的な病院名や診断方法などで理解することができました。
□ 読影医については初めて知りました。自己触診、検診の必要性も再確認できました。

LinkIcon LinkIcon LinkIcon